無期転換とは|基礎知識

無期転換とは、有期契約労働者が契約を更新して一定期間雇用された場合、労働者からの申し出により、労働契約が有期から無期に転換されることです。

適正な無期転換の申し出があった場合、原則として事業主は拒否できません。
なお、高度専門職と60歳以上の労働者からの申し出については、特例が設けられています。

無期転換の基本ルール

有期契約労働者が次に該当すると、無期転換権が発生します。

・同じ事業主との間で有期労働契約が更新され、通算契約期間が5年を超えた場合

この労働者が無期転換の申し出をした場合は、申し出時の有期労働契約期間が満了する日の翌日から、労働契約が無期(期間の定めのないもの)になることが確定します。

なお、無期転換の申し出があった場合、原則として事業主は拒否できません。

無期転換の申し出ができる労働者

2013年4月1日以降に開始した有期労働契約が通算5年を超えている人は、原則として無期転換の申し出ができます。

例を挙げてみましょう。

1年契約を更新したAさんの例:
Aさんは、2020年4月1日に、パート労働者として、1年間の契約で入社しました。
その後、同じ事業主と契約更新を繰り返し、2025年3月31日の満了をもって通算契約期間が5年に達しました。
この後、労働契約が更新されると通算契約期間が5年を超えるため、Aさんに無期転換権が発生します。

Aさんが無期転換権を行使できるのは、2025年4月1日から2026年3月31日までの期間です。仮に、2025年6月1日に無期転換権を行使した場合、無期労働契約の開始は、その契約期間が満了した後、つまり2026年4月1日です。

2年契約を更新中のBさんの例:
Bさんは、2020年10月1日に、2年契約の社員として入社しました。
その後、契約を2回更新し、2025年10月1日に、通算契約期間が5年を超えました。
(このとき、Bさんは「2024年10月1日~2026年9月30日」の労働契約の途中です。)

Bさんは、2025年10月1日以降、当該契約期間の満了日までの期間、無期転換権を行使できます。
申し出後、2026年10月1日から、無期労働契約が開始されることになります。

無期転換後の労働契約内容

無期転換権を行使し、無期契約労働者として新しい契約が開始された場合でも、業務内容・所定労働時間・賃金などの処遇は、原則として無期転換前と同一です。

そのため上記のAさんは、無期転換権を行使したからといって、即正社員になれるわけではありません。

無期転換権の行使で変わるものは、原則として労働契約期間が有期か無期かのみです。ただし、新しい労働契約締結の際に別段の定めや別途の話し合いがあれば、それに則った内容となります。

無期転換の例外

通算契約期間が5年を超えても、全ての労働者が無期転換権を行使できるわけではありません。
有期雇用特別措置法により、一定要件を満たす場合、下記2種類の労働者については無期転換申込権発生までの期間に関する特例が設けられています。

・高度専門職
・継続雇用の高齢者
順にみていきましょう。

高度専門職

特例が適用される「高度専門職(専門的知識等を有する労働者)」は、年収及び専門知識等が、下表に該当する従業員です。

年収   1,075万円以上
専門知識等以下のいずれか※に該当すること
・博士の学位を有する者
・公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士等、一定の資格者
・IT ストラテジスト、システムアナリスト、アクチュアリーの資格試験の合格者
・特許発明の発明者、登録意匠の創作者等
・一定の実務経験のある農林水産業・鉱工業・機械・電気・建築・土木の技術者、システムエンジニアまたはデザイナー
・システムエンジニアとしての実務経験が5年以上あるシステムコンサルタント
・ 上記に準ずる者として厚生労働省労働基準局長が認める者

※ 専門知識等(職種や資格など)、実務経験年数などについての詳細は、厚生労働省のサイトをご参照ください。

継続雇用の高齢者

特例が適用される「継続雇用の高齢者」とは、定年到達後、引き続き雇用される労働者です。
継続雇用の高齢者に特例が適用された場合、同じ事業主との通算契約期間が5年を超えても、当該期間中は無期転換権が発生しません。

なお、継続雇用の高齢者が、定年前まで在籍していた事業主でなく、いわゆる親会社や子会社などのグループ企業で継続雇用される場合も、特例適用の対象となります。

特例を適用するには

無期転換申込権の特例を適用するためには、事業主は次の準備をしなければなりません。

1 対象労働者について、「雇用管理措置についての計画書」を作成する
2 1で作成した計画を、本社を管轄する都道府県労働局に提出する
  
計画書の提出は、労働基準監督署を経由することもできます。
提出された計画書は、都道府県労働局で内容を審査され、問題がなければ認定がおります。

認定後は、その事業主に雇用される対象労働者に特例が適用されます。
高度専門職者の雇用開始や、高齢者の継続雇用開始より後に認定を受けた場合でも、特例適用の対象です。

ただし既に無期転換権を行使している場合は、その労働者には特例が適用されません。

雇用管理措置に関する計画書とは

高度専門職者については「第一種計画認定申請書」、
継続雇用の高齢者については「第二種計画認定申請書」を提出します。

各申請書は、厚生労働省のサイトからダウンロードできます。

第一種計画認定申請書の内容

名称や所在地など事業主の情報の他、有期業務の具体的な内容、対象労働者の専門知識等(職種など)、雇用管理に関する措置等を記載します。

雇用管理に関する措置には次のようなものが挙げられており、申請事業主が選択する書式になっています。
・教育訓練を受けるための有給休暇等の付与
・始業・終業時刻の変更
・勤務時間の短縮
・能力の維持向上を自主的に図るための時間確保の措置
・受講料などの金銭的援助  等

第二種計画認定申請書の内容

名称や所在地など事業主の情報の他、有期業務の具体的な内容、対象労働者の雇用管理に関する措置の内容、その事業主が採用している65歳までの雇用確保措置などを記入します。

なお、雇用管理に関する措置は、次の内容から選択する形になっています。
・高年齢者雇用等推進者の選任
・職業訓練の実施
・作業施設・方法の改善
・健康管理・安全衛生の配慮
・職域の拡大 など

有期雇用労働者への説明

事業主は、有期雇用労働者に対し、無期転換権について明示する義務があります。

いつ:
無期転換権が発生する都度
※有期雇用労働者の通算契約期間が5年を超えたとき以降は、契約更新の度に無期転換権が発生します

何を:
1 無期転換の申し込みができること
2 無期転換後の労働条件

更新回数も明示:
労働条件通知書には、契約更新回数を明示する必要があります。
また、新たに上限を設ける場合、既存の上限を短縮する場合は、その理由を有期雇用労働者に説明しなければなりません。

なお、労働契約の更新回数に制限を設けること、つまり「契約更新は4回を上限とする」と言った決まりを作ること自体は、違法ではありません。

ただし、無期転換権の行使を阻止し雇止めを行う目的で更新回数に上限を設けることは、無期転換制度の主旨に反する不当なものと解されるおそれがあります。

無期転換制度をはじめ、有期雇用労働者については様々なルールがありますが、担当者はそうしたルールを充分に整理し、必要に応じて説明できるようにしておく必要があるでしょう。

参考資料:
厚生労働省 無期転換ルールについて
厚生労働省 高度専門職・継続雇用の高齢者に関する
無期転換ルールの特例について