4月~6月の賃金に休業手当が含まれている場合、算定基礎届は通常どおり作成してよいのでしょうか。
本記事では、休業手当が支払われた場合の定時決定(算定基礎届)と随時改定(月額変更届)の事務処理について、基本的な考え方を紹介します。
休業手当と標準報酬月額
休業手当とは、事業主の都合により従業員を休業させた場合に、従業員に支払われるもので、休業手当の支払いは、労働基準法第26条により、事業主に義務付けられています。
社会保険料との関係においては、休業手当は「賃金」とされるため、「定時決定」や「随時改定」にも関係してきます。
算定基礎届とは?|標準報酬月額の決定方法
標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料の計算に用いられる額で、賃金を一定の等級に当てはめた額です。「その人のおおよその月給」とイメージしてください。
この標準報酬月額は、毎年4月~6月に支払われた賃金を元に計算され、9月分から1年間使用されます。この標準報酬の決定方法を「定時決定」といいます。また、計算内容の届出を「算定基礎届」といいます。
算定基礎届の対象期間に休業手当が支払われたときは、注意が必要です。前述のとおり休業手当は「平均賃金の60%(以上)」であるため、休業手当が含まれる月の賃金は、通常より低額になるケースが多いためです。
算定基礎届の対象月に休業手当が支払われた場合
算定基礎届に記載する4月から6月支給分の給与の一部または全部が休業手当だったときは、どのような処理をすればよいのでしょうか?
この場合、7月1日時点で、休業が解消されているか否かにより、扱いが異なります。
休業が解消されている場合
休業手当が支払われていない月のみで計算します。4~6月全ての月に休業手当が支払われた場合は保険者算定となり、その場合は原則として、従前の標準報酬月額が使用されます。
休業が解消されていない場合
休業手当が含まれた月についても、計算に含めます。3ヶ月の平均額は、休業手当を含んだ額で算出します。
休業手当と随時改定
長期に渡る休業により、実質的に賃金が変動している場合は、随時改定の対象になるのでしょうか?
随時改定とは?
定時決定により決まった標準報酬月額は、原則として1年間、社会保険料の計算に用いられます。しかし1年の間には、昇降給や給与体系の変更、役職への就任などにより、賃金が大幅に変わることもあり得ます。
賃金が大きく変動しているのに標準報酬が従前のままでは、社会保険料が実際の給与にそぐわない額になるおそれがあります。
そのため、「固定的賃金の変更があり」、かつ「標準報酬月額が2等級以上変動した場合」は、標準報酬月額の随時改定が行われます。随時改定を届け出る書類を「月額変更届」といいます。
※ 固定的賃金とは、基本給や役職手当、通勤費単価など、毎月定額が支給されるもののことです。「固定給」ともいいます。
固定給の変動と標準報酬月額
休業手当については、次のいずれも「固定給の変動」として扱われます。
・ 休業手当の支払い開始
・ 休業手当の支給率の変更
・ 休業の解消(休業手当の支払い終了)
固定給の変動以後、3ヶ月間に支払われた賃金で標準報酬月額を算定し、従前と比べて2等級以上変動していれば、随時改定(月額変更)がされることになります。
参考資料:
日本年金機構 算定基礎届の記入・提出ガイドブック令和7年度
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