【令和8年度】労働保険年度更新|賃金集計のポイント

労働保険年度更新では、前年度分(前年4月1日~3月31日)の賃金の正確な集計が必要です。ここでは、集計時に間違えやすいポイントを紹介します。

年度更新の概要、労働保険料の計算方法、保険料の納期限や納付方法などは、↓の記事をご覧ください令和8年度 労働保険年度更新|申告方法・納期限・納付方法

賃金集計は「締切日ベース」

前年度の賃金を、「4月分として支払った賃金」「5月分として支払った賃金」と、1ヶ月分ずつ集計していきます。賞与も同様です。

この「〇月分」は、「賃金締切日」をベースに考えます。

例えば「15日締め当月25日支払い」の場合は、5月16日~6月15日の賃金は「6月分」として集計します。
「末日締め翌月20日支払い」の会社においては「3月1日~3月31日」分の賃金は「3月分」として扱います。

末日締めの場合、たとえ支払日が4月以降(翌年度)であっても、翌年度分として扱わないよう注意してください。

【注意】社会保険の方は「支払日」ベース

労働保険料では締切日ベースで賃金を扱いますが、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の算定基礎届では支払日ベースで考えます。両者を混同しないよう、注意しましょう。

年度更新における「賃金」の範囲

賃金集計をするときは、「誰に支払った賃金か」「労働者に渡した金銭のうち”賃金に該当するもの”はどれか」を正確に知っておく必要があります。

誰に支払った賃金を集計するか

労災保険と雇用保険とでは、対象となる労働者の範囲が異なります。

労災保険料        全ての労働者に支払った賃金、賞与等

※雇用保険に加入しているパート・アルバイト・雇用保険に加入していないパート・アルバイト、兼務役員(労働者の性質も持つ役員のこと)など、全ての労働者に支払った賃金が対象です。
雇用保険料 雇用保険被保険者に支払った賃金、賞与等

※正社員+雇用保険に加入しているパート・アルバイトに支払った賃金が対象です


「賃金」に該当するもの・該当しないもの

下表に、賃金に該当するもの・しないものの例をまとめました。

賃金に該当する     ・基本給(月給・日給・時給)
・時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金
・家族手当、資格手当、住宅手当、調整手当、通勤手当など各種手当
・賞与、寸志など
・兼務役員に支払った給与のうち、労働者としての賃金
・休業手当(労働基準法26条に基づく手当…会社都合で労働者を休業させた場合の手当)
など
賃金に該当しない・役員報酬
・解雇予告手当
・休業補償(業務上傷病による休業の待期期間(最初の3日)分など)
・出張旅費など実費弁償的なもの
・結婚祝金、死亡弔慰金、勤続表彰金など
・退職金
など

上表は例示です。詳細は個別にご確認ください


集計時に注意が必要な労働者

出向者、兼務役員、派遣労働者などがいる場合は、集計前に把握・整理しておきます。

出向者:
出向者がいる場合は、次のように集計します。

出向者の労災保険…出向先で集計
出向者の雇用保険…主たる賃金の支払元で集計

A社から出向してきた労働者がB社で働いている場合は、
労災保険料はB社で集計し、
雇用保険料は、その労働者の賃金を主に負担している会社で集計します。

兼務役員:
兼務役員とは、役員でありながら労働者としての性質も持つ役員のことです。
兼務役員への給与は「役員報酬」と「(労働者としての)賃金」に分かれていることがあります。

兼務役員Gさんの給与400,000円が「役員報酬100,000円、賃金300,000円」の場合、労災保険料・雇用保険料として集計するのは「300,000円」になります。

派遣社員:
派遣社員は、労災保険料・雇用保険料ともに、派遣元で集計します。

間違えやすいポイント|労働保険年度更新

・締切日ベースでなく、支払日ベースで賃金を集計してしまった。
・賞与を集計し忘れた。
・兼務役員について、役員報酬を含めて集計してしまった。
・他社に出向中の労働者の賃金を、労災保険料計算に含めてしまった。
・休業手当や通勤手当など本来賃金として扱うものを、除外して集計してしまった。
・解雇予告手当など賃金として扱われないものを集計に入れてしまった。
・雇用保険料率が変更されているのに、確定保険料の額を概算保険料の欄にそのまま転記してしまった。

労働保険の年度更新では、賃金を正しく集計することが重要です。
賃金の集計を誤ると、労働保険料の過不足が生じ、修正申告につながります。

特に、労災保険と雇用保険の対象労働者、出向者や兼務役員へ支払った賃金などについては、正確に把握する必要があります。

また、令和8年度の年度更新では、昨年度に続き、雇用保険料率が改定されているため、十分に注意しましょう。


「年度更新申告書を作成している時間がない」「この集計方法でよいのかチェックしてほしい」などのご事情がある場合は、スポットでの年度更新手続き代行も承っておりますので、どうぞお気軽にお問合せください。

参考資料:
厚生労働省 令和8年度労働保険年度更新 申告書の書き方
厚生労働省 令和8年度の労災保険率について

令和8年度 労働保険年度更新|申告方法・納期限・納付方法

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