法人を設立して事業を始めたときは、社会保険(健康保険と厚生年金保険)への加入が必要です。社会保険は本人の意思や希望に関わらず、要件に該当すれば強制的に適用されます。

社会保険が適用される事業所の要件
法人は、原則として社会保険が適用されます。
社長1人だけの会社でも、社会保険への加入が必要です。
ただし社長に役員報酬が全く支払われていない場合は被保険者にならないため、社会保険への加入は不要です。
なお個人事業は、5人以上が働いている法定17業種の場合は、社会保険が適用されます。
しかし社会保険が適用されても、事業主自身は被保険者になりません。
※法定17業種とは:建設業・製造業・運輸業・卸売業・金融業・不動産業・教育業・医療業・複合サービス業・士業などをいいます
社会保険加入の対象者
社会保険の加入対象者は下記のとおりです。
・正社員(フルタイムの従業員)
・常勤役員(社長を含む)
・所定労働時間などの要件を満たすパート従業員
社会保険加入のパートの範囲
パートは下表のとおり、会社の規模や所定労働時間によって、加入するかどうかが決まります。
規模 | 要件 |
従業員数51人以上の事業所 (特定適用事業所) | ・週の所定労働時間が20時間以上 ・1ヶ月の給与が8万8000円以上 ・2ヶ月を超えて雇用される見込み ・学生ではない (2025.10月時点の要件) |
従業員数50人以下の事業所 | ・週の所定労働時間および月の所定労働日数が、 同じ事業所で働くフルタイム従業員の4分の3以上 |
社会保険の新規適用の流れ
会社の登記が終わり事業を開始したら、すみやかに社会保険の手続きをします。
1 「新規適用届」を提出
2 1と同時に「被保険者資格取得届」「被扶養者(異動)届」を提出
3 社会保険料の納付開始
順に説明しましょう。
新規適用届を提出
会社自体を社会保険に加入させる書類です。(法人の場合)
提出書類 | 新規適用届 |
添付書類 | ・会社謄本(履歴事項全部証明書)(90日以内に発行された原本) ・法人番号を証する書類 法人番号指定通知書の写し ・口座振替依頼書(口座振替をする場合) ※事業所所在地が登記簿と異なる場合は、賃貸借契約書の写し等が必要です |
提出先 | 事業所所在地を管轄する年金事務所 または事務センター |
提出期限 | 加入要件を満たしたときから5日以内 |
2 従業員や役員の資格取得届を提出
新規適用届を提出するときに、併せて従業員や役員を被保険者にする手続きをします。
提出書類 | ・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 ・被扶養者(異動)届(被扶養者がいる場合) ※被扶養者の続柄や収入を証明する添付書類が必要なことがあります |
提出先 | 事業所所在地を管轄する年金事務所 または事務センター |
提出期限 | 加入要件を満たしたときから5日以内 |
社会保険料の支払い方
労働保険は、最初にその年度の概算保険料を申告・納付しますが、社会保険は新規適用時に保険料の前払いはしません。社会保険が適用された後に納付書が会社に送付され、それに従って保険料を支払っていきます。なお、社会保険料は毎月支払いが発生するため、新規適用時に「口座振替依頼書」を提出しておくと便利です。

新規適用届は、記入方法や添付書類などの不備が発生しやすい届出です。
業種の書き方や報酬月額の設定の仕方などで迷ったときは、社会保険労務士にご相談ください。
→お問合せはこちらです
参考資料:
厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
日本年金機構 新規適用の手続き