会社は従業員に賃金を支払うとき、社会保険料のほか、所得税や住民税を差し引き、国や地方公共団体に納付する義務があります。
扶養控除等(異動)申告書を提出してもらう
所得税は、扶養人数や障害の有無などにより額が異なります。そのため従業員が入社したら「扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらい、そのため従業員の扶養親族等の状況を把握する必要があります。扶養控除等申告書の用紙は、国税庁のサイトからダウンロード可能です。
2ヶ所以上に勤務している等の理由で、扶養控除等(異動)申告書を提出できない従業員もいます。このような従業員はについては、税額表の「乙欄」を使用し、所得税の計算を行います。
住民税の特別徴収の手続き
住民税の納付方法には普通徴収と特別徴収があります。特別徴収とは、従業員の賃金から住民税を差し引き、会社が納付する方法です。
所得税の源泉徴収義務のある会社は、原則として従業員の個人住民税も特別徴収する義務があります。そのため従業員を雇い入れたときは、特別徴収の準備をしなければなりません。
普通徴収だった従業員が入社した場合は「特別徴収切替申請書」を、従業員の住所地の市区町村に提出します。
前職で特別徴収されていた従業員が、入社後も特別徴収を継続する場合は、前の会社から「給与所得者異動届出書」を受領し、必要事項を記入して市区町村に提出します。
なお、会社設立後すぐに従業員を雇用する場合や、役員報酬が0円の会社で従業員を雇い入れる場合は、給与支払事業所の開設届を税務署に提出する必要があります。また必要に応じ「納期の特例承認申請書」も提出するとよいでしょう。
給与支払事業所の開設届
会社が役員や従業員に報酬や賃金を支払うときは、報酬等から所得税を差し引き、国に納付しなければなりません。この義務がある会社等を源泉徴収義務者といいます。
会社を設立して源泉徴収義務者になったときは「給与支払事務所等の開設届出書」を事業所所在地を管轄する税務署に届け出る必要があります。届出期限は、給与等支払事業所の開設から1ヶ月以内とされています。
納期の特例承認申請書
従業員の賃金から源泉徴収した所得税は、原則として毎月、会社が税務署に納付する必要があります。ただし給与の支払人数が常時10人未満である場合は、税務署に届け出て承認を受けることにより、所得税の納付を「1年に2回」にすることができます。これを「納期の特例」といいます。
納期の特例制度の適用を受けようとするときは「納期の特例承認申請書」を事業所管轄の税務署に提出します。
参考:国税庁 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出 国税庁 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
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